音楽家、日本人の謙遜とは?

音楽家や日本人には、独特の「謙遜文化」があります。
例えば演奏を褒められても、
「いやいや、まだまだです」
「全然ダメでした」
「もっと上手な人がいますから」
と答えることが少なくありません。
もちろん、向上心を持つことは大切です。しかし、その謙遜が行き過ぎると、自分の価値まで否定してしまうことがあります。
特に音楽家は、長い時間をかけて練習し、高価な楽器を購入し、結果が出るか分からなくても努力を続けています。本来なら、その経験や技術には十分な価値があるはずです。
ところが日本では、「自分を高く評価すると傲慢に見られる」という空気があります。
海外では、
「私はこれが得意です」
「この分野なら任せてください」
と堂々と話すことが珍しくありません。
一方、日本人は能力があっても、
「大したことありません」
「たまたまです」
と一歩引いてしまいます。
ビジネスシーンでは?

この文化は人間関係を円滑にする面もありますが、ビジネスでは不利に働くことがあります。
なぜなら、お客様は音楽家の頭の中を読むことができないからです。
自分で価値を伝えなければ、その価値は存在しないのと同じです。
実際、多くの音楽家は演奏技術には投資できるのに、自分自身を発信したり、広告を出したり、学んだりすることには躊躇します。
「まだ実力が足りないから」
「もっと上手くなってから」
そう考えているうちに、チャンスを逃してしまうこともあります。
しかし考えてみれば、音楽そのものが先行投資の世界です。
練習も、楽器も、レッスンも、今すぐ結果が出るわけではありません。
それでも未来を信じて続けます。
ならば、ビジネスや発信も同じではないでしょうか。
謙遜は美徳です。
しかし、自分の価値を隠すことまでが美徳ではありません。
音楽家だからこそ、自分の価値を正しく伝える勇気も必要です。
「まだまだです」と言いながら努力を続けるのではなく、
「私はこれができます。その上で、もっと成長します」
そんな謙遜と自信の両立が、これからの時代の音楽家には求められているのかもしれません。